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NY州の証券法である「マーチン法」を根拠にアナリスト問題に介入し、以後、翌2003年4月に最終的に大手証券会社10社と総額13億8,750万ドル(内訳は、不当利益の吐出し3億8,750万ドル、民事制裁金4億8,750万ドル、それに加え独立系リサーチ費用への充当が4億3,250万ドル、投資家教育費用に8,000万ドルである)の支払いを含む包括的和解(globalsettlement)が成立するまで、この問題をリードした。
この過程で、大手証券会社のアナリストは投資銀行業務に動員され、その結果、広範囲な利益相反状況に置かれ、公正な情報仲介機能を果たすことができなくなっていたことが明らかになったのである。
かくして、包括的和解では、このような利益相反状況を解消するために、組織改革(リサーチ部門と投資銀行部門の分離、アナリスト報酬の投資銀行業務収益からの支払いの禁止など)、情報開示の拡充(証券会社が発行会社と取引関係がある場合にはリサーチ・リポートにその旨を記載する、発行会社をリサーチの対象から外す時はその理由を開示するなど)、独立系リサーチの配布(5年間3社以上の独立系リサーチ会社と契約し、顧客にそのレポートを配布するなど)について合意がなされた。
なお、アメリカにおけるフィナンシャル・ゲートキーパーをめぐる規制問題が深刻化するにつれて、世界102ヵ国・地域の証券監督当局等から構成される証券監督者国際機構(IOSCO)においても、格付け機関とセルサイドの証券アナリストの利益相反問題が取り上げられ、2003年9月にそれを防止するための原則が公表されている。
(3)わが国における動向以上、アメリカにおけるFGをめぐる動向について紹介したが、FGの役割についてはわが国でもまったく無縁の問題とは言えない。
すなわち、バブル崩壊後に相次いだ大手金融機関、事業会社の破綻の過程で、公認会計士が被監査会社と癒着し、粉飾決算や脱税などに手を貸すような事態が発生した。
こうした一連の事件は公認会計士に対する社会的信頼を失墜させるものであるため、監査の有効性を再確認し、適正な監査の実施と投資家への信頼できる財務情報の提供が求められたのである。
この結果、2004年4月に、金融庁の下に公認会計士・監査審査会が設置された。
この審査会は、これまでの公認会計士に対する処分に関する調査審議という権限に加えて、監査に対する社会的信頼を維持、確保するため、新たに公認会計士または監査法人が行う監査の品質管理状況をモニタリングする権限を与えられている。
「品質管理レビュー」制度自体は1999年から始まっているが、2003年度分からは公認会計士・監査審査会のチェックを受けることになった。
この2003年度の「品質管理レビュー」の結果、改善勧告を受けた監査事務所数は検査対象の97%に相当するものに達した。
この制度が発足して以来、勧告を受ける監査事務所の比率は9割以上の状態が続いており、監査の体制や手続きを改善する余地は依然として大きいのが現状である。
格付け会社や証券アナリストについてはこれまでのところ大きな問題はおきていない。
しかし、アメリカ、およびIOSCOにおけるこれらの問題への取組みを背景に、わが国の関係機関においても証券アナリストに対する規制や倫理規範の確立に向けた動きがみられる。
まず、2002年1月25日に、日本証券業協会は理事会決議として「アナリスト・レポートの取扱い等について」を定めた。
その目的は、「アナリスト・レポートの作成、使用等に係る業務が適正かつ公正に遂行されることを図り、投資者に対する適正かつ有効な情報提供及び、アナリストの資質の向上に資すること」である。
このために、会員証券会社が道守すべき事項として、次のような措置をとることを勧めている。
①社内管理体制の整備。
②社内審査アナリスト・レポートに関する指針等を作成し、その表示内容および評価が適正かつ合理的なものになるように努める。
また、それを審査する担当者を定め、審査する。
③情報管理の徹底アナリストが他の部門の業務に携わる場合の手続きおよび行為規制、調査部門から他の部門に重要情報を伝達する場合の手続きおよび行為規制を整備する。
④アナリストの意見の独立性の確保アナリストが引受部門、投資銀行部門、法人部門、営業部門などから不当な干渉および介入を受けないように指導・監督する。
また、アナリストが特定の顧客の利益を考慮して自らの意見と異なる内容の表示を行うことがないようにする。
⑤顧客への約束等の禁止引受部門、投資銀行部門、営業部門などの役職員が、顧客に対してアナリスト・レポートにおいて一定の表示または評価を行うことを約束し、または申し出ることのないようにする。
⑥アナリストの資質の向上。
⑦アナリストの証券取引への対応アナリスト個人の有価証券の売買または保有に関し、公正かつ適正な業務の遂行が確保されるように努める。
また役職員はレポートの作成・審査にあたり入手した重要情報を利用して個人的な売買を行わないようにする。
また、日本証券アナリスト協会は、2004年2月に、これまで作成してきた証券アナリストの職業行為基準や、この問題に関連した資料を『職業倫理を考えるためにルールと参考資料』として取りまとめた。
『証券アナリスト職業行為基準』自体は1987年7月に作成されているが、アメリカにおいて、公正開示規則が制定されたこと、またアナリスト批判が強まるなど、この間の環境変化を受けて、2002年4月に「証券アナリストの職業倫理を高めるために』という文書を公表し、より高い倫理基準を求めている。
証券アナリストについては、わが国においても大きな関心が持たれ、弊害を未然に防ぐ取組みが行われきたと言えよう。
しかし、開示情報の質については、既に深刻な問題が発生している。
その象徴的な事件は、2004年10月に明らかになった、西武鉄道が有価証券報告書の株主について過去40年以上にわたり虚偽の記載を続けていたことである。
また、同社は、監査についてはいわば町の個人会計事務所に任せており、情報開示について極めて社撰な体制を続けていたことも明らかになった。
金融庁はこのような事態の再発を防ぐために、内閣府令を改正し、2005年4月から有価証券報告書などで経営者と会計士の関係についての開示を義務付け、また個人事務所が監査を手掛ける企業には日本公認会計士協会などの第三者が監査結果を再点検したかどうかを公表させることにした。
その後、日本テレビ、カネボウ、アソシエント・テクノロジーの虚偽報告が相次いだため、事態を重く見た金融庁はすべての公開会社4,543社に対して1ヵ月以内に自社の報告書に誤りがないかどうかを点検するように指示した。
その結果、652社が報告書の内容を訂正することになった。
また、東京証券取引所は、2005年1月に、全上場会社の代表取締役に有価証券報告書の適切性や適時開示に真撃に取り組む旨の宣誓を義務付け、その後も毎期の決算内容について宣誓を求めることにした。
ジャスダック証券取引所も同様の措置をとっている。
これらはアメリカの企業改革法に準じたものである。
これまでの個人投資家育成策の検討団民営化と個人投資家1984年に、サッチャ一英首相(=当時)はイギリスの電電公社を民営化し、英国電気通信株式会社(ブリティッシュ・テレコム=BT)が生まれた。
この結果、この株式公開で約170万人の個人株主が生まれ、そのうち100万人、6割近くが事実上、株式を初めて保有した人たちだった。
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